イベント・講師

石川県の食材と日本酒が紡ぐペアリングディナー in 懐食みちば

【イベント概要】道場六三郎〜令和に遺す〜いしかわ晩秋の宴


道場六三郎氏の原点、今尚続く研鑽から生まれた伝統と革新の日本料理をこの一晩のためだけに。

日本料理の歴史を作り、常識を創り上げた料理人”道場六三郎”。石川県加賀市山中温泉に生まれた道場氏は料理人の家に生まれたわけではなかった。仕事をする中で包丁を握り、気がつけば料理の道に入っていたと本人は語った。

まだ無名の時代、妥協なく一心不乱に修行に励み、そして道場氏は東京銀座へ一気に打って出たのである。

その常識に捉われない自由な発想力には称賛、反発様々な声が上がったが、それらは次第に称賛へと収束してゆく。

現代の日本料理の当たり前とも言える技法、調理法、料理、その多くを道場氏が生み出したことを多くの料理人は知っている。だからこそ、敬意を込めて彼のことを「先生」と呼ぶ人は多い。

その後、多くの一流料理人がその技術をぶつけ合うテレビ番組「料理の鉄人」にも出演し、道場六三郎という名は日本料理会を代表する鉄人として名実ともに歴史に名を刻むことになる。その技は海を渡り、海外の料理学校でも指導を行うなど和食の普及と進化に大きな役割を果たしている。

その道場六三郎氏が今回、令和の時代に遺す1つの献立を創り上げた。故郷石川県の食材を全ての料理に用いて構成した一夜限りのコース。道場氏の故郷、そして思い出の食材、そこにこれまでの経験と技を纏わせた唯一無二の献立である。

その持ち味を最大限に引き出された能登猪、とらふぐ、グジ、加賀野菜、そしてこの時期だけしか獲ることができない旬の香箱蟹などの厳選された加賀や能登の味覚と、道場六三郎氏が考案した逸品の数々が一品ごとに見事な共演を見せる。

日本文化とは何か。

日本料理とは何か。

このたった1回に込められた想いを、是非直に体感していただきたくこの日本料理と石川地酒のペアリングディナーを企画しました。

八品の献立とその料理を彩る石川県の日本酒

 

今回、大の日本酒好きの道場六三郎氏へ敬意を表すべく、石川県で今最も味の乗っている石川地酒をご用意しました。

各蔵へ直接依頼をして出していただいた秘蔵の日本酒や県で開発された最新の酒米で醸された日本酒など、それぞれに個性や物語を持つ一本を丁寧に選定し、料理の味わいを輝かせます。

そして、使用する酒器は乾杯に山中漆器、以降のお料理には東京の木本硝子を用いてお酒の個性を活かして参ります。

食を楽しみ、酒を楽しみ、それらを共に楽しむ口福なお時間となるよう企画させていただきました。

道場さん直筆の「酒中浄土」。酒の中にこそ浄土はある。お酒好きの大名言です。

【マリアージュ解説】日本料理と石川地酒


今回のテーマは2つ

①令和に遺す”伝統や技の継承”

②石川県の食や酒をもっと好きになる

上記を念頭に、道場六三郎さんの献立に日本酒を合わせていきました。

《以下ペアリング詳細》

【乾杯:獅子の里 鮮 活性清酒】

道場六三郎さんの故郷山中温泉にある酒蔵、松浦酒造さんの「獅子の里 鮮 活性清酒」を山中温泉の伝統工芸「山中漆器」にて。この会の開演を飾るヒト、モノ、コトの全ての要素を兼ね備えた、これ以外にはないと言い切れる一本です。

【前菜:獅子の里 鮮 活性清酒】

石川県の様々な食材を散りばめた6種類のお料理。何か1品に照準を絞るのではなく、全体に対してバランスよくアプローチすることができる一本。それもまさに獅子の里の鮮だからこそできるワザ。蔵のコンセプトとしても食材あってこそ、食べてこその獅子の里。素材それぞれの持ち味を引き出しつつ、次に口へと運ばれる料理が新鮮に感じられるような仕事ができる一本です。

【刺身:農口尚彦研究所 本醸造 無濾過生原酒】

このクラッシュアイスの上に刺身を盛る技法を考案したのが道場さんということをご存知でしょうか。今では日本中で当たり前のように行われているスタイルですが、その元祖こそ道場六三郎さんなのです。そこに合わせるのは現代の名工であり、能登杜氏四天王の一人、農口尚彦氏の日本酒。アルコール添加の技術や山廃造りなど、彼が70年の酒造りの中で磨き上げてきた様々な技術は酒造りの神様とも呼ばれる域のものでした。その技術や精神を次世代へと継承すべく作られた酒蔵こそが農口尚彦研究所。この石川県が誇る二人の生きる伝説の生み出した技の融合を体感していただきました。

お酒についても、脂の乗り始めたブリの味わいはとろりとしていて旨味が強いので、中盤はその味を膨らませつつ余韻では綺麗に切る。甘エビやトラフグなど繊細な味わいを持つ食材に対してはしっとりと寄り添い余韻を楽しませる。そんな懐の深いお酒を選びました。

【焼物:手取川 Yasu Special Edition 2018】

能登蛎柚子釜焼、ぐじ松笠焼、能登てまり、この焼物三種それぞれの素材を活かす要となる日本酒には石川県の酒造りを牽引する若手筆頭の手取川を。こちらの日本酒に使われているお米は、石川県が開発した山田錦を超える県産酒造好適米「酒68号(愛称は間もなく決定)」。このお酒を醸した吉田さんは酒68号を”ダイヤモンドの原石”と称しており、繊細ながらも奥行きある味わいに仕上げています。原酒で度数15%、山廃造りによって生まれるほのかなクリーミーさと柑橘のような爽やかな酸が、柚子釜の香りやクリーミーな牡蠣の旨味との調和を生み、グジの透明感のある旨味やパリッと焼かれた鱗の香ばしさを一層膨らませ、能登てまりのフレッシュでストレートな旨味を昇華させてます。

今まさに次世代として世界を盛り上げようとする若手と世界を作り続けてきた大ベテランとの掛け合いをお客様には楽しんでいただきました。

【中皿:天狗舞 COMON 一火】

ここでは旬の香箱蟹に三杯酢を添えて出す王道スタイル。小さな体にギュッと詰まった濃密な味わいです。しかし、蟹はなかなかお酒を選びます。あまりドライで軽快なものとは反発し、濃醇すぎると繊細な香りや味わいが消されてしまいます。そこで選んだのが石川県でも屈指の実力蔵の一つである車多酒造が酒文化を広げ、次世代へと繋いでいくことをコンセプトに創り上げたのがこの一本。全体的に軽快で爽やかな酸味もあるバランスが良い日本酒であり、天狗舞らしいベースの旨味も感じられる正に大ベテランから送る次世代へのタスキのようです。

マリアージュとしても、香箱蟹とCOMONの味わいや香りはぴったりと同じ調律で合わさり、余韻に現れる軽快さ酸味が旨味の輪郭を心地よくかたどります。三杯酢を加えたパターンでも双方の酸味が歯車となりスムーズな味の展開と心地よい調和を生み出します。

【強肴:日榮 大吟醸 ひやおろし 】

石川県の地の素材で酒を造り、地酒としての魅力を伝えることをミッションに掲げている中村酒造。いしかわ晩秋の宴にぴったりの秋酒として選びました。サケマルシェで一度試飲した際に一目惚れし、これは絶対に取り入れたい!と蔵にお願いをしてもう販売していないお酒をこの会のためだけに出していただきました。

合わせるお料理に使われた猪肉は、いしかわ百万石マルシェ2019夏で知り合った能登猪業者の方から仕入れさせていただきました。料理の試作をした料理長なども「これブランド豚かと錯覚するくらいものすごく美味しい」と太鼓判。そのお肉を使用して鍬焼きに。オリジナルの甘辛いタレと能登の猪の力強い味わいが素晴らしい逸品となりました。そこに合わせる日榮の大吟醸ひやおろしは全体的な酒質は非常にクリアで軽快、その中にまろやかさと仄かな熟成感が現れているタイプ。醤油やスパイスなどの風味を軽やかな熟成感で繋ぎ、その上で猪肉の脂身や赤身の旨味と香りを膨らませるほどよく華やかな広がりを楽しんでいただきました。

その後の食事とデザートはお茶にて。

日本酒好きの友人達も遊びに来てくれました。

長くなりましたが、今回のペアリングは以上のようになります。

ご質問などありましたらどうぞお気軽にご連絡ください。

Kosuke Takayanagi

Kosuke Takayanagi

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〜日本酒愛の伝道師〜
日本酒を通じて人の縁を繋ぎ、文化や地域に貢献すべく活動中。
こちらは日本酒に関する全般の情報発信プラットフォームです。
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・国際唎酒師 / International Kikisakeshi
・JSA認定 SAKE DIPLOMA

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